キャバクラなどの風俗営業店とガールズバーなどの深夜酒類提供飲食店には
・従業員の名簿を作成して保管する義務
・従業員の生年月日と国籍を確認し、確認した記録を保管する義務
が有ります。
いわゆる従業員名簿と呼ばれる書類を作成して保管しなさいという義務で、違反すると50万円以下の罰金に営業停止の可能性もある規定ですが、実際に運営している方でも、従業員名簿に何を記載するのか、何をどうやって確認するのかを把握していない方が多いので、ここでしっかりと確認しましょう。
【従業員名簿に記載しなければいけない事項】
①住所
②氏名
③性別
④生年月日
⑤採用年月日
⑥退職年月日・・・退職した場合はこの日付から3年間は保存義務があります。
⑦従業する業務の内容・・・キャスト・ホール・キッチンなどなるべく詳細に記入します。
⑧接客従業員か否かの別・・・接待するかどうかでは無く、お客と接する機会が有るかどうかです。
【確認し記録を保管しなければいけない事項】
㋐生年月日
㋑国籍
㋒日本国籍でない場合は在留資格と在留期間
【㋐・㋑・㋒を確認するための書類として認められるもの】
○日本国籍の場合
A、住民票記載事項証明書(本籍地都道府県名が記載されたもの)
B、旅券(パスポート)
C、官公庁発行の書類その他これに類するもの(生年月日及び本籍地都道府県名が記載されたもの)
住民票(本籍地記載のもの)はCにあたります。
Bのパスポート以外はすべて本籍地の記載が有る物となっています。
これは、確認書類の主な目的の1つが、不法就労を防ぐために国籍を確認するというものだからです。
日本国籍であれば本籍欄には日本国内の地名が記載されますが、外国籍の場合はその国籍が記載されます。
そのため、以前の運転免許証には本籍地が記載されていたので確認書類として認められました。
しかし現在の運転免許証には本籍地の記載が無いので、確認書類としては認められません。
おなじくマイナンバーカードや住基カードも本籍の記載が無いので認められませんから注意が必要です。
【㋐・㋑・㋒を確認するための書類として認められるもの】
○外国籍の場合
D、旅券(パスポート)
E、在留カード
F、特別永住者証明書
D、E、Fのどれかが有れば住民票などで確認する必要ありません。
逆に、住民票などで国籍を確認したとしてもD、E、Fのいずれかがが無ければ確認書類としては認められません。
さらに外国籍の場合は確認書類に記載された
・国籍
・在留資格
・在留資格期間
を確認し、名簿に記入します。
なお、風俗営業法で就労が認められる在留資格は
・永住者(特別永住者を含む)
・定住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
のみで、他の在留資格の外国人を雇うことは出来ません。
(ハーフなどでも「国籍が日本」の場合は当然問題なく雇用出来ます)
詳しくは「外国人を雇いたい」の記事で確認して下さい。
日本籍・外国籍どちらであっても、これらの書類で確認をしたうえで、確認に使った書類のコピーを従業員名簿に添付します。
以上が従業員名簿の記載事項と確認書類の解説でしたが、これらの名簿の作成及び確認事項の確認は1日だけの体験入店だとしても必要です。
警察が見回りに来た時に、「この子は体験入店なので名簿は有りません」は通用しません。
体験入店であっても必ず確認書類を用意させ、名簿を作った上で働いてもらいましょう。
実際のところ、キャバクラなどの風俗営業店が警察から指導や処分を受ける事案は従業員名簿の不備が原因による事が多くあります。
なぜかというと、”警察は真面目に営業している営業者やお客様の迷惑になるので、営業中の店内にみだりに入ってはいけない。その代わり、書類の閲覧を求めることは出来る。”と法律上決まっているのです。
そのため、”とりあえず入り口で店内の様子を眺めつつ従業員名簿をチェックして従業員名簿に不備が有ればそれを理由に店内に入り、勝手に改装していないかなどその他の違反をチックする。”という流れが存在します。
もちろん違反など無いのが一番いいのですが、痛くない腹を探られないためにも従業員名簿の作成は確実に行うことをお勧めします。