変更承認申請と変更届の違い|風俗営業許可・風営法

キャバクラのシャンパンタワー 変更手続き

キャバクラなどの風俗営業店では、風俗営業許可を受けて営業を行っていると、ソファーなどの家具が痛んできたり、照明が切れたりと修繕や入替えの必要が出てきます。
あるいは思い切って模様替えをしたくなるかもしれません。

そんな時も勝手に行ってはいけません

内容によっては警察に対して「こんな風に変更したいんですがいかがでしょう?」と前もってお伺いを立てる”変更承認申請”が必要かもしれません。

あるいは「こんな風に変更したのでよろしくお願いします。」と後から報告をする”変更届”が必要かもしれません。

どちらも同じように聞こえますが、”変更承認申請”の場合、営業許可を取る時と同じように警察の検査が行われ、検査後おおむね10日後に承認通知というものが発行されるまでは、変更箇所を利用して営業することが出来ません。

”変更届”の場合は検査などが行われないため、届け出を出した時点で有効になります。
つまり営業を休む必要が有りません。

この違いは大きいですよね?

では、どのような変更なら変更承認申請が必要なのか?それとも変更届で足りるのか?
あるいは何の届出も要らないのか?を確認してみましょう。

変更承認申請が必要な変更

変更承認申請が必要な変更とはどういうものか、順に見ていきましょう。

①建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕及び建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替

例えばお店の床を張り替える場合に、その規模がお店全体の床面積の過半を超えれば該当することになります。

②客室の位置、数又は床面積の変更

許可申請をしたときに客室の範囲はここからここまでで、何室有って、広さは何㎡有ります、という申請をしているハズです。
その枠組みや広さが変わる時には変更承認申請をしなければいけません。
具体的にはVIPルームを作ったり、事務所として申請していた部屋を客室として使うような場合です。

③壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更

客室外であっても営業所の内部を仕切るための設備、例えばカーテンなどを設置する場合や部屋を区切る壁の仕様を変更する場合は変更承認申請をしなければいけません。

④営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更

許可申請のときに提出する書類に営業時間やメニューなどを書いて提出する”営業の方法”という書類が有るためその内容に変更が有る時には申請が必要と誤解されやすいですが、ここで言う営業の方法の変更とは

「麻雀屋をパチンコ屋に変更する、和風料理店を洋風カフェに変更するなど許可証に記載される営業の種類を変更するような場合」

と規定されているので、通常の模様替え程度では当てはまりませんし、営業の方法に記載した営業時間やメニューなどの変更も当然申請は必要ありません。

変更届が必要な変更

基本的には変更承認が必要になる変更以外の変更は全て変更届けが必要になります。
その中でも特に警察が変更届けを出しなさいと言っているのが以下です。

①営業所の小規模な修繕又は模様替え

大規模な修繕、模様替えや営業の方法を変更するような模様替えは変更承認申請が必要ですが、それ以外の場合は変更届が必要です。

②食器棚その他の家具(造りつけの物を除く。)飲食物の自販機その他これに類する設備の設置又は入替え

家具類を新たに設置したり入替えたりする時は変更届が必要です。
ソファーやテーブルなどを新しくするような場合はこれに該当します。
造りつけの物については客室の面積が変更になったり、大きさによっては営業所を仕切る設備の変更となるので変更承認申請が必要になります。

③照明設備、音響設備又は防音設備の変更

これが少し意外ですが、照明設備などを変更した時は変更届で足ります。
許可申請のときに現場で厳しく照度を計られたのは一体何だったのでしょう・・・?

変更承認申請も変更届も要らない場合

照明設備の変更は変更届が必要でしたが、電球1個替えるだけで届け出をしていては出す方も受ける方も大変です。
なので、以下の場合には届け出が必要ありません。

①軽微な破損の原状回復

破れたソファーや、汚れた絨毯を一部だけ張り替えたりするのに届け出は不要です。

②照明設備、音響設備の同一企画及び性能の範囲で行われる設備の更新

切れた電球を取り換えたり、壊れた設備を新品に変更したりするのに届け出は不要です。

③営業所の見通しを妨げない程度の軽微な椅子、テーブル等の配置の変更

申請済の家具類を移動させるのに届け出は不要です。
ただし、移動させたことによって客室の範囲が変わってしまうと変更承認申請が、また客室外の家具を客室内に移動させたりすると変更届が必要になるので気をつけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
これで変更しようとしている内容が”変更承認申請”が必要なのか”変更届”が必要なのかそれとも何の届出も必要ないのが分かったと思います。

変更承認申請が必要だった場合は、

 ①.変更する前に申請書を警察へ提出する 
 ②.変更を行う
 ③.変更が完了したら警察へ連絡をする
 ↓数日
 ④.検査を受ける
 ↓概ね10日
 ⑤承認通知を受けて営業開始

という手順になりますが、③と④の間の日数については早くても1週間、検査が混み合っていると3週間以上待たされることも有ります。

許可申請の場合は”申請を行った日”から日数を数えましたが、変更承認申請の場合は”検査を受けた日”から承認までの日数を数えますから、変更の内容によっては変更工事の完了から1ヶ月程度は営業出来なくなることがあり得ます。

なお、変更承認が必要な変更を行ったにもかかわらず承認を受けずに営業をすると「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその併科」、さらにお店の営業停止や許可の取り消しがあり得ます。

また、法人で他の店舗も営業しているような場合に許可の取り消し処分を受けると法人自体が営業者として欠格事項に該当することになるので、法律上は処分のあった店だけでなく、運営する全ての風俗営業店の許可が取り消される可能性が有ります。

神奈川県警に問い合わせたところ、
「そのような場合は営業許可の返納を指導する」
との回答を頂きました。

この罰則は変更した内容が風営法の規定に違反していない内容だったとしても、承認を受けていないという事のみで適用されるので、規定に違反しない変更を行う場合は必ず申請を受けて承認してもらいましょう。

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